世界のペット事情(1) ペットブームに沸くタイ2024.4.15
ペットを愛する人は日本だけでなく世界中にいます。このシリーズでは各国におけるペット事情を取り上げてみます。1回目はタイです。
タイ(正式にはタイ王国)は観光地として日本人にもなじみの深い国です。東南アジアの中でもいちはやく1970年代から工業化と経済発展が進み、いまや首都のバンコクはアジア有数の大都会となっています。
人口は現在、約6600万人。経済的に豊かな中間層が増えるとともにペットの飼育数が急速に増えているといいます。
それとともにペット用品専門店だけでなくペットを同伴できる商業施設やホテルなどが次々に誕生。ペットサロンやペットフードの自動販売機も登場したそうです。
地元金融機関の調査では、2021年時点で446億バーツ(約1700億円)だったペット関連市場の規模が26年には5割増の667億バーツに拡大すると予測されています。
こうしたペットブームの背景にはいくつかの要因があるようです。
ひとつは、少子高齢化の進行です。タイの合計特殊出生率はいまや1.4を割り込み、日本(2023年で1.34)とほぼ同じまで低下。核家族化や独身世帯の増加につながっています。そうした中、ペットを家族の一員として考える人が増えています。
2022年にバンコクの国立大学が行なったペットに関する調査では、ペット所有者の80%以上が独身で、49%が子供を持つ代わりにペットと暮らしているケースだったといいます。
もうひとつは、今回のコロナ禍です。タイでもコロナ感染症の拡大にともない人の移動や対人接触の抑制・制限を行い、自宅にいる時間が長くなりました。そこでペットが癒やしの存在として注目されたのです。
さらにもうひとつ、タイならではの要因があります。それは前国王のラーマ9世(プミポン国王)の存在です。
プミポン国王は2016年10月に亡くなりましたが、生前には愛犬家としても知られていました。何匹も飼っていた愛犬の中で特にお気に入りだったのが、バンコク市内で拾われた雌犬の「トーンデーン」です。国王がタイ国内を視察する際、国王に寄り添う姿がたびたびメディアで報じられたり、切手の絵柄になったり、国王の年賀状に一緒に映ったりしました。
※2014年の年賀状(王室カード)に映ったプミポン国王とトーンデーン
https://stampaday.wordpress.com/2017/10/19/king-bhumibols-favorite-dog-thailand-2246a-2006/
プミポン国王は2002年に『トーンデーン物語』という本も出しており、80万部以上の記録的なベストセラーとなりました。同書は日本でも『奇跡の名犬物語 世界一賢いロイヤル・ドッグ トーンデーン』(世界文化社、プーミポン・アドゥンヤデート/著 赤木攻/訳)として発売されています。
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