「スイス」のペット事情2024.10.3
ペットを愛する人は日本だけでなく世界中にいます。このシリーズでは各国におけるペット事情を取り上げています。今回はスイスです。
ヨーロッパの中央に位置し、永世中立国として知られるスイスは、4.1万㎢と九州と同じくらいの国土に867万人(2020年)が暮らしています。
スイスでは国民の動物愛護への関心が高く、以前からペット先進国とも呼ばれます。
そもそも19世紀から憲法に動物の尊厳に関する条文(内容は時代により変化)が盛り込まれていますし、各種法律において、ペットに限らず食用や実験用の動物についても動物の尊厳を尊重しなければならず、不適切な痛みや苦痛、危害、恐怖を与えてはならないという方針が貫かれています。
例えばウサギやインコ、モルモットなど社会的動物と定義された動物はつがい(2匹、2羽以上)で飼わなければないとか、1匹で飼える猫についても毎日人と接したりほかの猫が目に入ったりする環境でなければならないといった規定があるそうです。
ただ、あまりに先進的なためか、スイスでは2018年、牛の除角(牛同士や飼育者の安全のため生れてすぐ角が生えてくる部分をコテで焼く処置)が動物福祉に反するとして、除角しない農家に補助金を支給する案が国民投票にかけられたり、最近も医学や科学のための動物実験を全面的に禁止する国民投票が行われたりしています(いずれも反対多数で否決)。
身近なペットである犬と猫についてみると、スイスには犬55万頭、猫179万頭がおり(欧州ペットフード産業連盟調べ)、猫派が圧倒的な多数を占めています。
そのためかスイスでは、外壁に猫専用のはしごを設けている家をあちこちで見かけます。
図表 スイスの猫はしごの写真集
https://utrecht.jp/products/arcatecture-swiss-cat-ladders-brigitte-schuster
犬についても、スイスでは公共交通機関やホテル、レストランなどほとんどのところで飼い主と一緒に行動することができ、社会に溶け込んでいます。
とはいえ、猫に比べると飼育数が少ないのはいろいろなハードルの存在が影響しているようです。
例えば以前、犬を飼うための資格制度があり、しつけトレーニングと実技テストを受けて合格しなければならなかったそうです。
あるいは、いまも「犬税」といえる税金が存在します。これは犬の飼い主に課せられる税金で年間1万円ちょっと。安易に犬を飼おうとする人を抑える狙いがあるとともに、その税収は一般財源として公道や公園の整備に使われ、一部は犬の糞を回収するポストの設置にも回されています。
図表 犬の糞回収ポストの例
https://www.animaldonation.org/blog/overseas_report/15094/
日本にもこうしたポストがあれば良いのですが、犬税の導入を含めて社会的な合意を得るのは難しいかもしれませんね。
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