ペットの多頭飼いをめぐる光と影2019.5.22
複数のペットを一緒に飼うことを「多頭飼育」といいます。
最近、ニュースなどで多頭飼育をしているうちペットがどんどん繁殖し、手に負えない状態なった「多頭飼育崩壊」の問題が取り上げられるようになっています。
ペットの多頭飼いをめぐる光と影をのぞいてみました。
もともと「多頭飼育」は珍しいことではなく、昔から犬や猫を複数、飼ったり、いろいろなペットと一緒に暮らす人はたくさんいました。
ペット関連サービスを提供するみんなのペットオンライン㈱が、同社のグループサイトに登録している会員を対象にした調査(有効回答数1455)では、約4割が犬もしくは猫の多頭飼いをしているそうです。
また、多頭飼いで幸せを感じたエピソードとして、次のようなものが紹介されています。
・我が家の子供3人と犬4頭は何をするのもみな一緒。毎日がとてもにぎやかで笑いが絶えません。(ティーカッププードル 計4頭 飼育中 50代男性)
・みんな揃って外を眺めていたり、寄り添って眠る姿はものすごくかわいい。(ミニチュアダックス&ミックス・雑種、ほか猫含む 計7頭 飼育中 40代女性)
・2匹がピッタリ寄り添って寝ている姿、追いかけごっこをしている姿、仕事が終わって家に着くと2匹でお迎えしてくれる姿、猫ライフの全てに幸せを感じています!(スコティッシュフォールド 計2頭 飼育中 40代女性)
・右を見ても左を見てもモフモフで、ひざの上までモフモフで、みんなが気持ちよさそうに寝ている姿を見た時。(ミックス・雑種 計3頭 飼育中 50代女性)
※出典:https://www.min-breeder.com/multiHead.php
https://www.koneko-breeder.com/multiHead.php
こうしたエピソードは、確かに微笑ましく、「いいね」を押したくなります。
しかし、その一方でこんな現実もあります。
新聞報道によると、宮城県内に住むある老夫婦は、東日本大震災の後、近所で生まれた5匹の子猫に餌を与えたのをきっかけに猫を飼い始めました。しかし、年金生活で猫に避妊・去勢手術をする余裕はなく、どんどん増えて常に十数匹を世話する状態に。しかも、夫は持病があって入退院を繰り返しており、認知症状による徘徊も始まり、家の中は猫のふん尿だらけに。
近所からの苦情で市の担当者が妻に猫の避妊・去勢手術を促し、「殺処分してもいいなら引き取る」と提案したものの拒否。最終的にはボランティアが引き取ることになったといいます。
こうした「多頭飼育崩壊」は最近、全国で社会問題化しており、環境省が全国115自治体を対象に行った2016年度調査では、ペットの飼育で生活環境が損なわれていると近隣住民らから複数の通報があった事例が約2200件にのぼったそうです。
自治体の中には、犬や猫の多頭飼いを制限する条例を制定しているところもあります。
例えば、「山梨県動物の愛護及び管理に関する条例」では次のように定めています。
・犬、猫合わせて10頭以上飼うものは、一部の場合を除き繁殖制限しなければならない(第13条)
・犬、猫合わせて10頭以上となった時には、30日以内に知事へ届出をしなければならない(第14条)
・届出をしない、又は虚偽の届出をした者は、5万円以下の過料(第19条)
また、環境省では今年2月、犬・猫等の不適正な多頭飼育への対応に関するガイドラインの策定を目指して、等についての検討会を設置しました。
※参考:https://www.env.go.jp/press/106504.html
日本全国でペットを飼う多くの人はきちんとしたマナーとルールを守っているでしょうが、ごく一部であれ深刻化している「多頭飼育崩壊」の問題にもしっかり目を向けていく必要があると思います。
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