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動物虐待を巡る判例の傾向について

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前回、取り上げたように「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物保護法)の改正案が2019年6月に成立し、概ね1年以内に施行されることになりました。

 

これにともない、ペットの殺傷や虐待・遺棄についての罰則規定(上限)が下記のように強化されます。

 

<殺傷>

従来:懲役2年、罰金200万円 → 改正後:懲役5年、罰金500万円

 

<虐待・遺棄>

従来:罰金100万円 → 懲役1年、罰金100万円

 

 

近年、動物の虐待が増えている印象を受けますが、実際の裁判例を見ると、罰則規定の強化も当然のように感じます。

 

環境省が公表している「平成30年度動物の虐待事例等調査報告書」から、裁判の傾向を見てみましょう。

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3103b.html

裁判例は大きく「殺傷」事件と「虐待」事件に分けられます。

 

例えば、飼っていた「いえばと」約125羽にエサを与えず衰弱させ、首をひっぱるなどして死亡させたケースでは、懲役6ヵ月(執行猶予3年)の判決が出ています。

このケースでは、はとの死骸を水路などに廃棄したことが廃棄物処理法違反にも問われ、併合罪となったものです。

 

あるいは、3回に渡って譲り受けた猫合計5匹を殺傷したケースでは、懲役3年(執行猶予5年)の判決が出ています。

このケースでは、他人の猫を虐待・殺傷目的で詐取したとして、詐欺罪との併合罪となり、量刑が重くなっているようです。

 

複数の動物を殺傷した場合、おおむね懲役刑が言い渡され、初版であれば執行猶予が付くようです。

 

虐待については、これまでは罰金刑しかなかったので、基本的には罰金の言い渡しです。

犬2頭飼にエサや水を与えずに衰弱させ、排せつ物が溜まったところで飼っていたケースや、猫45匹を同じように排せつ物が溜まったところで飼っていたケースでは、罰金10万円になっています。

 

同じ虐待でも、飼っていた猫(1匹)に対し、拳骨で頭を数回殴るなどして怪我を負わせたケースでは、罰金60万円と重くなっています。

 

動物愛護法の改正により、暴力で怪我をさせたケースなどは懲役刑が言い渡されることもあるでしょう。

 

刑罰を強化することはあくまで対症療法であり、社会全体でペットと人間のより良い関係を考えるきっかけにしたいものです。

 

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